合理的な愚か者の好奇心

団塊おじさんの "見たぞ! 読んだぞ! 歩いたぞ!"

つま恋の吉田拓郎

前回「つま恋と中津川」が、拓郎に対して冷たすぎないか?というご批判を一部でいただきました。そんなことはございません!ということで、今回は拓郎讃歌です。

9月23日の「吉田拓郎&かぐや姫Concert in つま恋」をビデオで見ました。
いやはや60歳還暦の吉田拓郎、堂々円熟のステージでした。かつて、31年前のつま恋では、「朝までやるぞ!」と宣言し、その4年前の中津川ではサブステージを独占して、本当に朝まで何時間も歌い続けた伝説の「人間なんて」。みんなみんな同時代を生きてきた団塊の世代カタルシスを体現させてきたカリスマフォークシンガー吉田拓郎

今を生きる還暦の吉田拓郎は、すっかり枯れて、ステージ上でいみじくもかくのごとく述懐します。「若い時は、朝までやるぞと宣言し、実際に赤い朝日が昇るのを気にしながら歌ったものですが、今日はみんなの帰りの電車の時間を気にしながら歌っています。」

「元気です」「イメージの詩」「落陽」「a day」と続く選曲は還暦のステージとしてほぼ完璧でおみごとでした。若くなければ無理がある「人間なんて」を歌わなかったのも正解です。

とりわけ、クライマックスの超サプライズとして満を持して登場する中島みゆきのすばらしさ!歌う歌は、もちろん、彼女自身の作詞作曲による拓郎のヒット曲「永遠の嘘をついてくれ」。いやはや感動的でした。泣けてきましたね。拓郎はすっかりあがってしまって、まともに中島みゆきの顔を見られませんでしたねぇ。しかし、中島みゆきは、あの年でなんであんなに色っぽいのでしょうか?ちょっと妖怪的です。

満員の3万5千人の観客は、どれもこれもおじさんおばさん。すなわち団塊おじさんと団塊おばさん。拓郎の試算では平均49歳。
ここで、私は卒然と気がつきました。かくなる上は、拓郎が好むと好まざるとに関わらず、最も人数の多い団塊の世代の人々と同時代の記憶をつむぎ続けてきたかけがえのない歌手として、拓郎は未来永劫歌い続ける義務を負っていると確信できました。

つらいでしょうが、これはカリスマの拓郎が生きている限り避けられない義務です。
肺がんを宣告されてオイオイ泣いた拓郎。
肺の1/5を摘出する手術を成功させた拓郎。
みごとカムバックし、8時間の野外ステージをやり通した拓郎。
ここまで人生の山坂を一緒に生きてきてしまった団塊のファンにとっては、もはや拓郎が病気になろうがなるまいが、死ぬまで付き合うしかない腐れ縁になってしまっているのです。

そして、十数年後、きっと拓郎はみんなから祝福されながら勲章をもらっているでしょう。
ビートルズのように・・・・・