合理的な愚か者の好奇心

団塊おじさんの "見たぞ! 読んだぞ! 歩いたぞ!"

割り箸の「鉄腕アトム」

何度かこのブログでも書きましたように、我が家にテレビが来たのは私が小学校入学以前の昭和二十八年です。
したがって、私は労せずしてテレビの番組発達史の生き証人ということになります。
そこで、今回のテーマは「国産アニメ第一号」です。

今は「アニメ大国日本」の名前をほしいままにするほど、世界に冠たる我が国のテレビアニメの隆盛ぶりで、世界中に輸出されているようです。
しかし、テレビの草創期においては、外国アニメは、ご存じディズニーアニメを筆頭に相次いで輸入され大評判であったのですが、国産アニメの方は影も形も存在しないというちょうど今と逆さまの状況であったのです。

Photo 国産アニメの登場が切望されていたそんな時期に、テレビに初めて登場したのは「鉄腕アトム」です。あれはおそらく昭和三十一~三十二年頃だったと思います。
ということで、私が今回お話ししたいのは、当時の「アニメ」「鉄腕アトム」がどのような様子で放映されていたのかについて、歴史の生き証人として証言してみたいのて゛す。
うっかり「国産アニメ第一号」と言ってしまいましたが、「アニメ」が動画という意味でありますれば、それは全く別物だったのです。

今ではちょっと考えられない番組ですので、みなさんには少なからぬ想像力を呼び起こしていただかなければなりません。
まず、登場人物はアトムやお茶の水博士をはじめ、それぞれひとりづつ別々に表用と裏用の二枚づつ紙に描かれています。そしてその二枚の紙は割り箸のようなものをはさんで、表と裏として張り合わされています。
そして、その割り箸のごとき登場人物は、割り箸の一番下の部分で、黒子の手に支えられ、あるいは左右に動き回り、あるいは表裏をひっくり返されたりしながら番組が進行していくのです。表が笑顔であれば裏は泣き顔であったり、表が右を向いていれば裏は左を向いていたりしていました。
もちろん、割り箸の動きにあわせて、せりふが語られます。

おわかりいただけましたでしょうか・・・・
誤解を恐れず簡単に表現すれば、
要するに「割り箸に貼り付けられ平面的に描かれたキャラクターによる一種の人形劇」といったようなものなんです。

私は当時小学校一年生でいわゆる典型的な「年端もいかない子供」であったわけなんですが、その子供である私が思わず「これは何か変 ! 子供だましだ !」と慨嘆せずにはおられなかったほどのくだらなさでした。
私の記憶では、この「鉄腕アトム」はほんの数回でうち切られてしまったと思います。
アニメ大国日本の今振り返ってみますと、隔世の感です。

どなたかおぼえていらっしゃらないでしょうか・・・・
おぼえていらっしゃったら、コメント願います。