合理的な愚か者の好奇心

団塊おじさんの "見たぞ! 読んだぞ! 歩いたぞ!"

福岡県立小倉高校

s 8月20日(土)決勝を迎えた今年の第87回全国高校野球選手権大会で、北海道の駒大苫小牧高校が京都外大西を5-3で破り、大会史上6校目の2連覇をめでたく達成しました。ご同慶の至りです。
夏の大会の連覇ということになりますと、なんと遡ること57年、昭和22~23年の九州の小倉中学(現在の小倉高校)以来となります。

さて、57年の時を隔てた小倉高校と駒大苫小牧高校ではありますが、実は奇妙な共通点があります。
駒大苫小牧高校の昨年の優勝は、北海道勢としては、史上初めての優勝であったのですが、それがそのまま、今回の57年ぶりの2連覇に結びついたわけです。
一方、57年前の小倉中学も、昭和22年の優勝は、九州勢では史上初めての全国優勝であったのです。これも史上初から一気に2連覇につなげたわけです。不思議な偶然です。

さてさて、小倉高校と言いますと、この昭和22~23年の全国高校野球大会2連覇の後も、北九州の強豪として何度も甲子園に出場してくるほど、野球の強い高校でありましたが、お勉強の方も大層得意で、当時の有名大学合格ランキングでも全国ベスト20位に入るほどの受験校でもありました。
私には、野球も強くて勉強も出来る文武両道の高校生というのが、あり得ない存在と思っていましたので、とっても不思議でした。

ところが、私が大学に入ると、運良く同じクラブ(ラグビー同好会)に、この小倉高校出身者が一人おりましたので、早速尋ねてみました。
この小倉高校OBのA君は、性格も外見も共に典型的な九州男児のスポーツマンでありまして、真っ向勝負、語る言葉は真実のみの木訥一本槍の快男児でありました。
彼が明快に説明してくれたところによりますと、
「まぁ、東京の人が不思議に思う気持ちもわからなくはないが、我々小倉高校OBにとっては何の不思議もない。
小倉高校という学校は、旧制中学時代から九州の高校の中でも、抜きんでて生徒数が多い大規模校であって、勉強の出来る奴も、野球のうまい奴も、みんな入ってくるほど規模が大きいだけの話だ。したがって、勉強の出来る奴が同時に野球もうまいわけではない。やっぱり、野球の得意な奴のほとんどは、勉強が出来ない。」と言っておりました。

しかし、この小倉高校は、その後今日に至るまで、甲子園には全く縁がなくなってしまったのはご存じの通りです。
小倉高校のHPを見てみますと、大学受験の成績の方は、相変わらず好調のようであります。
一方で、県下屈指の進学校で同じ北九州市のライバル校東築高校は、依然として文武両道を貫いております。
小倉高校は、厳格な校風が売り物で、校則も厳しく、勉強も徹底的にしごくそうでありまして、だからこそ、進学実績も非常に良いようです。
最近は、こうした超管理教育を売り物にして、それが見事に効を奏して、高い進学実績を残す高校が、東京でも多いようです。

かつて、東京では受験校と言えば都立高校を指す時代があり、そうした都立高校の中でも、抜群の進学実績を誇っていた日比谷高校にしても、新宿高校にしても(ついでに両国高校にしても)みんなみんな自由な校風で(悪く言えば、しばりなしの完全フリーで)、その代わり自己責任は厳しく問われていたものです。
はたして、教育が変わらざるを得なかったのか、それとも学生の方が変わってしまったのか?
ひょっとすると、あの時代のあの高校教育は、もう永遠に戻ってこないのでありましょうか・・・・