合理的な愚か者の好奇心

団塊おじさんの "見たぞ! 読んだぞ! 歩いたぞ!"

再会する歌ベストワン

Fukuyama
お待たせしました。(待ってないか[E:sign02])
それでは前回に続いて、「昔つきあっていた初恋の人と再会する歌」の最後の1曲です。
これは個人的には「マイ再会ソング」の白眉に位置するもので、ぶっちぎりのベストワンとして謹んでご推薦いたします。
このカテゴリーの歌には非常に珍しく、歌うのは男性歌手です。毎週日曜日の大河ドラマ坂本龍馬を熱演しているご存じ福山雅治歌うところの「はつ恋」です。作詞・作曲ももちろん福山雅治でございます。

あまりに歌全体のバランスがすばらしいので、この歌については、抜粋ではなく、前半の詞の全文をご紹介します。

[E:note]この想いが君を 苦しめてしまうとしても
 傷つけてしまうとしても 君が欲しくて

 たがいに手に入れた 新しい幸せ 
 いまこの手で 壊してしまいそう

 帰るべき場所がある 守るべき人がいる
 愚かすぎる過ちと 知っているから・・・・

 友達ではいられないことも 恋人には戻れないことも
 わかってるよ でもこの真心を 
 永遠の はつ恋と呼ばせて・・・・ [E:note]


いかがでございましょうか? もはや何事も付け加えるものもなく、いかなる論評も不用であるかのごとき完璧な詞に思えます。
しかし、少しだけ論評しますと、
[E:note]帰るべき場所がある 守るべき人がいる
 愚かすぎる過ちと 知っているから・・・・ [E:note]

たった2行のこのフレーズで、過不足無く最短距離でふたりの状況が理解できます。
要するに、この二人はいずれも既婚者であり、「幸せを壊して、愚かすぎる過ち」に突き進むか否かのギリギリの判断をしようとしているのであります。

そしてこの絶体絶命の崖っぷちを、稀代のシンガーソングライター福山雅治は、
日本歌謡界でも屈指の歴史的名フレーズでアウフヘーヴェンしてしまいます。すなわち、
[E:note]友達ではいられないことも 恋人には戻れないことも
 わかってるよ でもこの真心を 
 永遠(とわ)の はつ恋と呼ばせて・・・・ 
[E:note]

いやはや名曲であります。
福山はこの「はつ恋」を昨年末の第60回紅白歌合戦で歌いましたが、そのおかげか正月のシングルCDの売上げはダントツだったようであります。
なお、今はやりのi Podではこの曲は聴けません。福山雅治はi Tuneで自分の歌を売らないからです。こうしたプリンシプルを持っている歌手は、そんなに珍しいことではなく、サザンの桑田佳祐もそうなんですよ。
福山雅治は、一生分の能力をこの「はつ恋」で使い尽くしてしまったような気がします。

「永遠のはつ恋」という用語は、まぁ言ってみれば一種のみごとな撞着語法(oxymolon)だと思いますが、読者の皆様すでによくご存じのように、私はこの撞着語法が大好きなんですよ。

すなわち、「合理的な愚か者」だしぃ・・・・
     「壮大なる零」だしぃ・・・・・・